こんにちは。OPENER Chocolateのオーナー・ショコラティエの山内です。今日は、普通の会社員だった私がOPENER Chocolateを立ち上げてから百貨店に出店し、現在に至るまでの創業ストーリーについてご紹介したいと思います。
この記事を読むことにより、以下のように考え悩んでいる人の参考になれば嬉しいな。背中を押すことができれば嬉しいな。という気持ちで書いています。
「自分が何がしたいかわからない」
「今の仕事から異業種で働いてみたいけど、難しそう..」とか
「会社員から独立するのって大変そう..」
それでは早速、以下の項目でご紹介していきます。
Contents
新卒で広告代理店へ。そこで感じた違和感
私は新卒で広告代理店に就職し、そこで営業やテレビ通販の制作に携わっていました。しかしながら、就職活動をしている時は「自分が何をしたいか」そこまでよく分かりませんでした。ただ、「マーケティング」を学びたいという気持ちがあり、ご縁もあって、広告代理店のなかでもより「マーケティング」を知ることができそうなテレビ通販をメインに取り扱う会社に入社することにしました。
(マーケティングを学びたいと思った理由は、就職前に休学してカナダのバンクーバーやニューヨークに行っており、そこでマーケティングの重要さを感じたためでした。)
そんなふうに「社会人」になった私。2年ほど働いた頃から、働きながら感じていた「違和感」が無視できなくなるほど大きくなっていきました。
その頃のツイートはこんな感じ。
この他にも、そこまで質が良いとは思えない商品をより良く見せるように広告をすることへの疑問などが書かれていました。
「大量消費社会」に関する疑問が湧いてきたのです。(詳しくは記事「私がOPENER Chocolateをはじめた理由」に書いています。)
2016年くらいの当時はまだ「SDGS」や「サステナブル」という言葉を聞く機会がなく、資本主義の問題についても今のように語られていませんでした。
そんななかでしたが、広告業界にいたので、たしかな「体感」としてこの社会のシステムに大きな違和感を感じたのです。
そこで、私は働きながら少しずつ行動してみることにしました。
とにかく違和感の追求。1冊の本との出会い
まず初めにとった行動は、その違和感をとにかく文字に起こしてみること。(「違和感を追求していくと、自分の本当の気持ちがわかる」。自分がそれを体感したことから、私はこのような持論を持つようになりました。)
色々とその時の違和感をノートに書いていました。
そして、そんななかで見つけた1冊の本【世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~】。
のちに「ビジネス本大賞」を受賞するほど大ヒットする本ですが、その当時2017年はちょうど発売されたばかり。仕事の帰り、六本木の本屋さんでそのタイトルを見た瞬間ビビッときて、購入。
その時私がちょうど感じて、なんとなく言語化していたこと、感じているがまだ言語ができていなかったことが論理立てて書かれていたことに驚きました。(著者の山口周さんは広告代理店での勤務経験がある方だったので、自然なことかもしれません。)
新たな発見も多く、この本は私の考えをより強めてくれる運命の本となりました。
そしてこの本を読み終えたあとも、自分の感じていた「違和感」に関する様々なドキュメンタリーを見たり本を読んだりして、よりその考えの輪郭を強めていきました。
「書き出す」ことが自分への理解を深めた
そして、違和感を追求すると同時に、自分に問いかけていました。
「では、自分はどうしたい?」と。
まだ会社員として働いていましたが、これをほぼ毎日のように、自分の心に聞いていました。色々と浮かんできた時はノートにとにかく書き出して、そこに優先順位をつけたりしました。
私がノートに書いていたのは以下のようなこと。
・自分がデザインした何かがあるお店を持ちたい
・デザインができるようになる!!(絵が描きたい、写真が撮りたい)
・ブランドを作りたい
・美味しくて健康的なものを食べ、作りたい
・Photoshop、Illustratorなど編集技術を身につける
・アーティスト(クライアントとの関係にあまり惑わされずに仕事ができる、自分の好きなものを生み出すことができる)になる
・ものを作り出したい
・世界観を伝えたい
・センスの良いものと関連した生活(音楽、インテリア、アート)
こんなことがノートに書かれていました。
こんなメモもありました。
「アートと広告のちがい:アートは自分本位。広告は人に向けた発信。自分が心から作りたいと思うものを追求したい。」
このように「書き出す」ことを通して、徐々に自分の願望、本当の気持ちに気づくことに近づいていきました。メモをこうして振り返ると、当時の私には以下のような想いがあったのだなあと、改めて気付きます。
「広告代理店の仕事はあくまでクライアントさんの商品を売るための仕事で、クリエイティブな活動だが自分の意志や希望は叶えられない。そうではなくて、自分の好きなことを好きなように表現したい。」
会社での経験から、より自分の希望がはっきりした部分もあるのかもしれません。まとめると、私は自分が表現することによって世界観やものを生み出したかったのだということがわかってきました。
自分の「したいこと」「できること」「社会が必要としていること」がつながった瞬間
まだ前項の「ノートへの書き出し」のタイミングではあくまで「自分のしたいこと」の列挙。
今振り返ると、自分にだけ矢印が向けられているなあと感じます。
しかしながら、ある日自分の部屋でぼんやりとしていたら、以下の全てがつながった瞬間を迎えました。
・「違和感」を追求して分かった「社会が今必要としている」こと
・ノートへ書き込むことでわかった「自分のしたいこと」
・これらをつなぐ「自分のできること」
突然自分から空の上の遠くに1本の揺るぎない柱のようなものが立ったような感じの、あまりにも強い感覚で、しばらく固まってしまったくらいでした。
その時、揺るぎない感覚を手に入れたような、そんな気持ちになったことを今でも覚えています。何かとの比較ではなく、環境によって変化することもない確かな感覚です。
この時、私は本来の自分に出会えた気がしてこの感覚を「自分自身になる」と表現することにしました。
「その幸せな世界観を伝えていきたい」そして「社会がより良くなると思えるものを、自分の手で作り出し、個人や社会に影響を与えたい」。
そんな言葉に落とし込んで、活動していくことに決めました。
(このあたりのことも記事「私がOPENER Chocolateをはじめた理由」で詳しくご紹介しています。)
それまで違和感を抱えながら仕事をしていた私は「これからは自分に嘘をつかずに生きていこう」。
そう決めて、会社の人たちにも恥ずかしげもなく「これからは"Stay true to meself."をテーマに生きていきます!!!」と(きっと皆よくわからないであろう)宣言をして、数ヶ月後に退社をしたいことを直属の上司に告げました。
お恥ずかしながら当時のツイート↓
残り1席!ギリギリのタイミングで受講を決めたローチョコレート講座
さて、退社することが決まりました。
でも、まだまだやることは具体的になっていません。ただ、「今までで何に最高に感動しただろう?」と考えを巡らせていた時。ふと京都のロー(非加熱)チョコレートショップ「カカオマジック」のことを思い出しました。
当時ローフードという食事法を実践していた健康オタクの母が、京都で発見し連れていってくれた場所。私がまだ大学生だった、2011年に初めて伺いました。
その時食べた1粒のチョコレートは、私の今までの「チョコレート」の概念を覆しました。
今まで食べたどんなチョコレートよりも自然のパワーをそのまま取り入れているような。「カカオ」そのままいただいているような、不思議な感覚で本当に衝撃的でした。
それまでも、ダークチョコレートが好きで色々な種類を試していました。休学をしてバンクーバーやニューヨークに滞在していたので、海外の色々なチョコレートを知っていたつもりだったのですが、今までにない感覚でした。
その「カカオマジック」のことを思い出して、何となくホームページを開いてみる。
すると、「ローチョコレートアルケミスト」という、ローチョコレート作りのショコラティエ講座の募集が行われているのを見つけました。
しかも、お店のある京都ではなく、私の住む東京からアクセスの良い逗子への出張講座が開かれている。
そして、募集が残り1名….!!!!!!
すぐお問い合わせをしてみたところ、講座の料金が本気の人に向けた料金だったので一瞬たじろぎつつも、運命的なものを感じていたのでやはり申し込みすることにしました。
そんな経緯があり「ローチョコレート」講座を受講することになったのでした。
ただ、ここではまだ「チョコレート」に絞っていたわけではなく、ジュエリーにも興味がありました。リサイクルゴールドなど、環境や労働環境への配慮のあるジュエリーブランドを作ってみたかったのでした。
可能性のあるものは試してみたかったので、お休みの日にジュエリーの製造体験に申し込んでみて、実際にリングを作ってみたりしていました。
②へ続く