こんにちは。
OPENER Chocolateを運営している山内です。
今日は「私がなぜOPENER Chocolateをはじめたか」についてご紹介いたします。
以下の文章は、初めての大規模出店だった2021年大丸東京店での出店にて販売をお手伝いしてくれるスタッフさんへ向けて書いた文章をもとにしています。
とてもパーソナルな想いなので、今まで特にお伝えしていなかったのですが、この機会にシェアしてみたいと思います。(長い文章なのですが、削るよりもお手紙のような感覚で、すべて記載してしまいます。)
広告代理店で働いて感じた違和感
実は、私は大学卒業後、新卒で広告代理店に就職しました。テレビ通販をメインに扱っていたこともあり、「いかにモノを売るか?」を寝る時間を削ったりしてたくさん考えていました。そんな日々を何年か続けました。そんななか、ある時「なぜこんなに無理やりモノを売らなければいけないのか?」という疑問が頭を離れなくなりました。たとえばダイレクト(通販)マーケティングの手法に「恐怖訴求」というものがあります。これは、相手の恐怖感、不安感に対して働きかけてモノを売る手法。
「あなたこんなお悩みありませんか?」「このまま放っておくとまずいかも」というような主にテレビ通販などの広告で見かけるあの類のものです。こういう手法などへの違和感は日々強くなり無視できなくなっていきました。
「そこまでしてモノを売るのはなぜ?」
広告を作っていたからこそ、そんなシンプルな問いかけを体験を通して感じており、それを追求したいと思いました。
そして、日々、本を読んだりドキュメンタリーを見て答えを探すと分かってきたことがありました。
それは「この社会は資本主義という社会システムを採用している」ということ。この当たり前のような大前提について体感をともない気付いていきました。資本主義社会では消費を含む経済活動により経済発展が促進され、それにより「豊かな社会」を目指します。幸福度ではなく、GDPによって国の進捗度がはかられるのも資本主義社会だから。(もちろんその資本主義で私たちは便利な社会を手に入れたのですが、「先進国」ではもう十分すぎるほど便利になりました。)
この資本主義というシステムは全く完璧ではなく、多くの欠陥があり最近ではその限界と問題点が指摘されるようになってきています。たとえば以下のようなことです。
・消費が大きなパワーを持つのにその影響が見えづらい
「資本=お金」を介する社会なので、自分の消費が社会にどんな影響を与えるか?そのモノはどこから来たのか?がブラックボックスの中にあるように見えなくなっている(工場畜産による種差別、食糧問題、労働力の搾取等につながっている)。
・環境問題
「資本主義」は資本をベースに考えるので、環境に限りがあることが想定されておらず、このペースで環境破壊が進むと私たち含めて地球上の生き物は近いうちにこの地球で生きていけなくなると言われる。
・資金力のある企業に有利な情報が強くなりがち(研究結果でさえ資金力のある企業に有利な結果になったりする。)
・貧富の格差
などなど。
その資本主義を支えるものが「消費」。人の消費こそが資本主義を支えている。そして、広告はその消費をうながすもの。資本主義を支える歯車の一つが広告だった。
私が感じていた「なぜここまでしてモノを売らなければいけないのか?」という疑問に対する答えは「消費を促すことが私たちの社会(資本主義社会)を機能させることに必要不可欠だから。」でした。
ですので、「モノを売る」はこの社会でとても重要なことで、企業は売らなければ存続できないためさまざまな手段を使ってモノを売ろうと仕掛けます。そんななかで広告が私たちに提示するモノを売るために作られた「理想像」「普通」の価値観の力は想像以上に強力。そういう枠組みに、私たちは思う以上に縛られてしまっている。それも非常に問題だということを、広告を作っていたからこそ心底感じていました。
では、そういう社会システムの問題点を解決していくものは何か?いろいろなアプローチはあると思います。
でも、私は日々消費と向き合い、消費のパワーがこの世界を大きく動かすと知ったからこそ「消費のパワーを使ってその問題を解決していきたい。」と思いました。そして、その大きな力をより良い方向に発揮してくれる消費のカテゴリが「プラントベースの食」だと考えています。これを説明すると長くなってしまうのですが、環境破壊、食糧問題、パンデミックの問題などは人がプラントベースの食に移行すると解決できます。やはり消費のパワーは大きく、すぐに実行できるのに効果が大きいのがこの「プラントベース」。
そのプラントベースのチョコレートやスイーツを作っているのが、OPENER Chocolateです。梅干しを食べたことがなければ梅干しの写真を見ても唾液が出ないように。「体感」が人の考えや行動を変えてくれる。言葉で説明するのではなく感覚として少しでもプラントベースの魅力に気づいてもらい、消費の力を少しでも
・持続可能で
・世界の生き物全体の幸福度を上げる
方向性に向かわせたいという思いでOPENER Chocolateを始めました。
(世界一美味しいと忘れられなかった京都にあるローチョコレートの日本の第一人者の方がショコラティエ講座を開催したことも偶然重なりました。)
もちろん、「より良い消費」とはいえOPENER Chocolateだって消費を促していることには変わりがなく、チョコレートを作るのに必要な電力、包装パッケージ、材料輸送のためのエネルギーなどなど課題はあります。それでもまずはできることからやってみようというスタンスでスタートしています。以上が大きな視点、OPENER Chocolateを運営する社会的意義みたいなものです。
OPENER Chocolateのスイーツから感じていただきたいこと
ここまでがOPENER Chocolateが事業をする大きな(マクロ的な)視点での意味です。でも、より持続可能でもっと多くの、人を含めた生きものが幸せを感じられる社会を作るためには「社会全体」へのアプローチ、「個人」へのアプローチ、両方が必要だと考えています。
社会システムに対するアプローチと同じように、個人にはたらきかけることも少しずつ世界を変化させる鍵であると思っています。個人にはたらきかけるというのは、OPENER Chocolateが「食べてくれる『あなた』になにを感じてもらいたいのか?」ということです。
OPENER Chocolateを食べて感じてもらいたいのはたった一つのメッセージなのですが、それが「Stay true to yourself. 」ということ。
日本語では「自分自身になる」と言い換えたいです。
(「あなたらしく」という広告コピーはよく見かけますが、少し他人と比較しているニュアンスを含む気がして、私の感覚では「自分自身になる」という方がしっくりきます。)
なぜプラントベースのチョコレートでそのメッセージを伝えられると考えているかというと、「微かな感覚に意識を向けると、人は『今、ここ』に集中することができ、自分自身になることができる。」から。
前述したように、私たちは思った以上に広告や社会通念に支配されてしまい、私たち自身の感覚に意識を向けること、それを信じることをできずにいます。
ヨガや瞑想では、自分の呼吸や身体の感覚に意識を向けることにより「今、ここ」に意識を集中させる。それによりまわりとの一体感を感じ、その一体感こそが自分自身になる感覚につながります。私は7年近くヨガをしたり、瞑想をするなかその方法はすごく効果的なアプローチだと実感しています。
(また、ヨガや瞑想を続けて感じられるようになるその感覚は、東洋思想で言われる「悟りの状態」または「ワンネス」「個=全体」に気がつくきっかけとなった不思議な体験と同じだったことから、これは確かな感覚だと確信しました。)
精進料理もそのような目的で修行僧が食します。そんな感じで、プラントベースのものはその感覚に心身を向かわせてくれるものです。白砂糖や動物性の刺激のない、かすかな香りや舌触りに感覚を傾ける時、あなたは「今、ここ」を感じることができる。それが自分自身になることへの扉になっていく。(この感覚を知ったときに、私は自分の過去と未来、社会の問題点と自分のできること、すべてがつながった感覚を持ち、この感覚をこそ伝えなければと使命感すら感じました。)そんな感覚をOPENER Chocolateではお届けしたいと思っています。
また、個人がこの感覚を知ると、先ほどお伝えしたような広告が訴えてくる「理想像」やつまらない「社会通念」から解放されてより持続可能な社会につながっていくとも考えています。(最近は何年か前よりそういう流れになってきているような肌感はありますが!)
「Stay true to yourself.」というメッセージをOPENER Chocolateのパンフレットやシールにしていたるところに書いているのはそういう理由があります。ただロジカルな会議で作られた広告コピーとは込めている想いがひと味違うことをお伝えしておきます!(笑)
まとめと感謝の気持ち
最後にまとめると、OPENER Chocolateをする意義は大きく2つ。
・社会的意義:消費をできるだけ負荷がないものにし、この世界をより持続可能なものにし幸福度こそを上げられるようにする
・個人への働きかけ:優しい素材や味でできたものに意識を向けることで「今、ここ」を感じて「Stay true to myself.」「自分自身になる」感覚をお伝えする
私がOPENER Chocolateを始めた理由と続ける意義はそういうことにあり、これは私が生涯をかけてしていきたいこと。今はその手段がチョコレートということなので、今後その手段は少しずつ変わるかもしれませんが、この目的は変わらないです。
..もし、ここまでこの長文を読んでくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございます。こんな想いがあり始めたOPENER Chocolate。
これからどのように進化していくかは私にも未知な部分があり、とてもワクワクしています。
そして、もしスイーツをご注文いただいた際にはOPENER Chocolateのスイーツが「自分自身になる」感覚を持つことを助けてくれるよう願っております。